前立腺肥大症の治療は「薬物療法」と「手術」が行われていますが、基本的にまず薬物療法から行われます。その次の段階が手術。薬物療法から手術に移行する患者さんは、どのような方々なのか――。それは、①「薬物療法が効かない、効果がでてこない」、②「副作用があって薬物療法ができない」、③「前立腺肥大症の合併症が出ている」、④「受診するのが遅く、すでに症状が重い」などの患者さんです。
この中の③のケースを具体的に紹介すると、前立腺肥大症があり、それによって膀胱結石などが出てきているといった患者さんです。この場合、手術をしないと尿の炎症をおこしたり、血尿がみられるようになります。また残尿が増えると腎臓に悪影響を及ぼし、腎不全になってしまう人も出てしまうからです。
薬物療法が合わない患者さんもいますが、前立腺肥大症の治療では、まず基本的に行われるのが何度も言うようですが、「薬物療法」です。私は、最初から手術ということはしません。まずは薬物療法をおこなって、その薬物療法が前述したように合わない患者さんに手術の選択をしています。
その薬物療法ですが、今日、使われている薬は多くなってきていますが、中心的に使われている薬は「α1遮断薬」「5α還元酵素阻害薬」「PDE5阻害薬」の3つです。次回からは、薬物療法の中心となっている3つの治療薬について紹介します。
日本泌尿器科学会専門医 加藤忍