前立腺肥大症は「薬物療法ができない」「薬物療法で効果がなくなってきた」「前立腺肥大症の合併症が出ている」「症状が重症化している」といった状況になってくると、「手術」が選択されます。その手術としては、「TURP(タープ=経尿道的前立腺切除術)」「TUEB(チューブ=経尿道的前立腺核出術)」「HoLEP(ホーレップ=ホルミウムレーザー前立腺核出術)」「PVP(532nmレーザー光選択的前立腺蒸散術)」「CVP(接触式前立腺レーザー蒸散術)」「PUL(経尿道的前立腺吊り上げ術)」「WAVE(経尿道的水蒸気治療)」などが行われています。まずは、TURPとはどのような手術なのかを説明します。
私たち泌尿器科医は「切除鏡」と呼んでいますが、内視鏡のことです。この内視鏡を尿道から前立腺まで挿入し、先端についている電気メスで肥大した前立腺を削り取ります。電気メスはループ状なので、ループで削り出すというやり方です。
つまり、前立腺の内側を削って大きな空洞を作ります。夏ミカンをイメージしてください。夏ミカンの皮の部分を残して実だけを削り出す、という方法です。少しずつ削っていくので何度も何度も削ります。すると、どうしても出血量が多くなります。出血量が多いと合併症を起こしやすくなるので、それを考えると手術は1時間以内で終わらせるのが重要だと思います。
そうするには、前立腺肥大がどの程度かをしっかりチェックすることが大事です。前立腺はクルミ大ですが、前立腺の肥大がクルミ大の2~4倍程度の前立腺肥大までが、この手術の対象となります。
日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医 加藤忍