前立腺肥大症について
55歳の20%の割合で
症状が現れると言われています
前立腺(ぜんりつせん)とは膀胱に隣接して、尿道を取り巻くような構造をしている男性のみに存在する臓器です。正常な前立腺はクルミの実ほどの大きさで重さにすると20グラムほどです。前立腺が大きくなることにより、排尿にかかわるさまざまな症状をきたすことを特徴とし、加齢とともに増加する病気で、統計によると55歳以上の5人に1人は前立腺肥大症の症状があると言われています。
このような場合はご相談ください
- 睡眠が妨げられている
- トイレのない場所に行くと不安がる
- 旅行(外出)前、就寝前の水分摂取の制限をしている
- ゴルフのようなアウトドアスポーツができない
- 途中(排尿のため)休憩しないと長時間運転できない
- 映画や演劇鑑賞のような社会活動も差し支える
前立腺肥大症の原因
前立腺肥大症の原因は完全に解明はされていませんが、男性ホルモンの変化や生活習慣、食の欧米化などが前立腺の肥大に関与していると言われています。特に最近では肥満、高血圧、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病も前立腺肥大症のリスク因子として報告されています。
前立腺肥大症の症状
前立腺肥大症になると、尿道の一部が細くなるため排尿に関するさまざまな症状が起こるようになります。具体的には、個人差はありますが以下の症状が現れます。
排尿症状
前立腺肥大症による排尿症状には、排尿開始に時間がかかる、尿の流れが弱い、排尿中に中断することがあるなどが含まれます。頻繁な尿意を感じても、実際の排尿量が少ないことも特徴です。これらの症状は前立腺が膀胱を圧迫し、尿の流れを妨げるために起こります。排尿がスムーズでないため、日常生活に支障をきたすこともあります。
よくある症状
- 尿の勢いがなくなり尿の線が細くなる、尿が途切れている
- いきみをかけたりお腹をおしたりしないと尿がでてこない
- 尿をしたのに膀胱に尿が残っている感じがする
蓄尿症状
前立腺肥大症による蓄尿症状には、夜間トイレに何度も起きたり、急な我慢できない尿意や尿漏れが出現するようになります。
よくある症状
- 夜間に何度もトイレで起きてしまう
- 日中のトイレの回数が多い(正常は1日(日中)に5回ほど)
- 尿が溜まった感じが急にしてきて、尿が溜まると我慢できなくなる
- 尿が溜まった感じが急にしてきて、尿が漏れてしまう
前立腺肥大症の症状を
セルフチェック
国際前立腺症状スコア(IPSS)
項目 | スコア | 分類 |
---|---|---|
排尿開始の遅延感 | 0-5 | 0: なし, 1: 稀に, 2: 時々, 3: しばしば, 4: ほとんどいつも, 5: 常に |
排尿後の残尿感 | 0-5 | 0: なし, 1: 稀に, 2: 時々, 3: しばしば, 4: ほとんどいつも, 5: 常に |
排尿中断の回数 | 0-5 | 0: なし, 1: 稀に, 2: 時々, 3: しばしば, 4: ほとんどいつも, 5: 常に |
排尿の緊迫感 | 0-5 | 0: なし, 1: 稀に, 2: 時々, 3: しばしば, 4: ほとんどいつも, 5: 常に |
尿の勢いが弱い | 0-5 | 0: なし, 1: 稀に, 2: 時々, 3: しばしば, 4: ほとんどいつも, 5: 常に |
排尿回数の増加 | 0-5 | 0: なし, 1: 稀に, 2: 時々, 3: しばしば, 4: ほとんどいつも, 5: 常に |
夜間排尿の回数 | 0-5 | 0: なし, 1: 1回, 2: 2回, 3: 3回, 4: 4回, 5: 5回以上 |
合計スコア | 0-7: 軽度, 8-19: 中等度, 20-35: 重度 |
QOL(生活の質)
QOL項目 | スコア | 分類 |
---|---|---|
排尿状態による生活の質 | 0-6 | 0: 非常に満足, 1: 満足, 2: ほぼ満足, 3: どちらでもない, 4: ほぼ不満, 5: 不満, 6: 非常に不満 |
前立腺肥大症の治療方法
前立腺肥大症の治療法は大きく分けて薬物療法と前立腺を取り除く手術療法があります。通常は薬物治療を行いますが、薬物療法が副作用のために継続できない場合、薬物療法で効果が不十分な場合や前立腺が大きく残尿が増えたり、尿閉になる方には手術療法を検討します。
薬剤による治療
薬物療法では患者さんの病態、症状にあわせて複数の薬剤を併用して治療を行うこともあります。
主に以下のような薬剤を使用します。
(アボルブカプセル)
手術による治療
MIST(ミニマルインベーシブ
サージカルセラフィー)
ミニマル・インベーシブ・サージカル・セラフィーの略でMISTと呼び、日本語訳で低侵襲的外科治療を意味します。患者さんの負担をできる限り減らしつつ、手術での治療効果を維持する方法です。男性機能温存を希望する方にむいた治療です。レーザー手術と薬の服用による治療の中間的な位置づけとされています。
レーザー治療
レーザー治療の特徴としては、他方式と比べて術時の出血が比較的少なく、かつ血液をさらさらにする薬を服用されている患者さんでも、安全に配慮された治療を受けることができる点があげられます。その他にも術時の痛みがほぼない、身体への負担が少ない、治療効果が高い、手術時間が短いなど多くのメリットがあります。特にHoLEPは前立腺肥大症のゴールドスタンダードな手術です。