中高年の男性を悩ます疾患として患者数が多いのは「前立腺肥大症」や「前立腺がん」です。どちらも認知度の高い疾患です。「前立腺肥大症のすべて」を知ってもらいたく、わかりやすく解説していきます。
中高年の男性に多くなるのが“尿トラブル”。その原因として最も多いのが前立腺肥大症です。症状としては「残尿感」「頻尿」「夜間頻尿」などがあります。
まず、「残尿感」から説明します。残尿感は、今トイレに行ったにもかかわらず、尿が残っている感じがする、という症状です。実は、尿が残っている感じがするではなく、実際に尿は残っています。前立腺が肥大すると尿の勢いが弱くなる「尿勢低下」によって残尿感が出現するのです。残っている尿が多ければ、「頻尿」に――。
頻尿とは、今トイレに行ったにもかかわらず、また頻繁にトイレに行ってしまうことを言います。一般的には尿意を催してトイレに行く回数は1日5、6回程度が正常と言われています。それが、8回を超えると頻尿とされます。
この頻尿が夜間にも起きると「夜間頻尿」。夜中に何度もトイレに起きるので、寝不足になり、仕事中に眠くなったりして困ったことも起きます。まさに睡眠障害――。夜間頻尿は生活の質をグンと落としてしまいます。夜間頻尿で起こるのは睡眠障害だけではなく、それが原因でさらに困ったことも起きるリスクが高いのです。その困ったこととは――。
日本泌尿器科学会 専門医 加藤忍