年齢だけではなく、生活習慣や生活習慣病も大きく関係する前立腺肥大症。その状態の進行度は、第1期の「膀胱刺激期」、第2期の「残尿期」、第3期の「尿閉期」の3つに分けられます。
まずは膀胱刺激期。まだ前立腺肥大が軽度な時期で、膀胱が過敏になるような症状の「頻尿」や「夜間頻尿」などが出てきます。
次の段階は残尿期で、前立腺の肥大が中等度の状態。こうなると尿道への圧迫が強くなるので頻尿や排尿困難などの症状も強くなります。このような方の中には、膀胱にやわらかさがなく、硬くなっている方もいます。やわらかさのある膀胱であれば、尿をためることができるので排尿を我慢することができます。しかし、膀胱が硬いとすぐに尿意を感じ、我慢ができません。膀胱のやわらかさが重要です。
そして、尿閉期。前立腺の肥大がかなり進み、前立腺が膀胱側に飛び出している状態なので、膀胱や尿道への圧迫はかなり強い状態です。残尿が多くなり、十分な排尿ができなくなる方が多くなります。代表的な症状は「溢流性(いつりゅうせい)尿失禁」。いっぱい溜まった尿を出したいのに出せないので、あふれ出て漏れてしまう、という症状です。この状態が続くと、腎臓から尿が膀胱に流れなくなるので腎臓が腫れて腎機能が低下する「腎不全」を引き起こしてしまいます。
そうならないためにも、「尿が出にくい」「トイレが近い」のは歳だからではなく、病気があるからだとしっかり理解してください。そして、早く泌尿器科を受診しましょう。
日本泌尿器科学会専門医 加藤忍