“排尿症状で困っている”という人は、歳のせいにしないで泌尿器科を受診しましょう。今回の前立腺肥大症では、まずは「国際前立腺症状スコア(IPSS)」によって客観的な評価が行われます。「ここ1か月間での“おしっこ”の状態」を教えてもらうのです。
質問は7問。①「おしっこをした後に、まだおしっこが残っている感じがありましたか」。②「おしっこをして2時間以内にもう一度しなくてはならないことがありましたか」。③「おしっこをしている間に、何度も途切れることがありましたか」。④「おしっこを我慢するのが難しいことがありましたか」。⑤「おしっこの勢いが弱いことがありましたか」。⑥「おしっこをし始めるのにお腹に力を入れることがありましたか」。⑦「夜寝てから朝起きるまで、何回おしっこに起きましたか」。これに5段階で答えます。①~⑥は「なし」が0点、「5回に1回未満」が1点、「2回に1回未満」が2点、「2回に1回くらい」が3点、「2回に1回以上」が4点、「ほとんどいつも」が5点。⑦については「なし」が0点、「1回」が1点、「2回」が2点、「3回」が3点、「4回」が4点、「5回以上」が5点で計算します。
これを合計した点数が、0~7点は「軽症」、8~19点は「中等症」、20~35点は重症と考えられます。そして、最後にこれらの症状に対する患者さんの満足度も「QOL(生活の質)スコア」で点数化します。「現在のおしっこの状態がこのまま変わらずに続くとしたら、どう思いますか」――。「とても満足」が0点、「満足」が1点、「ほぼ満足」が2点、「何とも言えない」が3点、「やや不満」が4点、「不満」が5点、「とても不満」が6点。評価は「0、1点」が軽症、「2~4点」が中等症、「5、6点」が重症です。
IPSSスコアとQOLスコアを合わせて総合的に調べていきます。まずはこれが検査の第1歩です。そして、改善度をチェックするときにも使います。
日本泌尿器科学会専門医 加藤忍