前立腺肥大症の検査を行って、がんの疑いがないと診断がつくと、肥大症の治療を始めます。もちろん経過観察の患者さんも少なくありません。経過観察となるのは、前立腺肥大症があってもQOL(生活の質)が低下していないし困っていない、という患者さんです。このような患者さんは生活習慣を改善することで、症状も改善することがあるのです。
生活習慣の改善は、もちろん、患者さん自身が考えて行うことではありません。前立腺肥大症の排尿トラブルをより改善するために、専門医である泌尿器科の主治医、看護師の指導を受けましょう。
具体的には、「水分摂取量が多すぎる」人もいます。水分摂取量が過剰な場合はトイレが近くなります。水分を摂取し過ぎの方は摂取量を抑えましょう。特に夜間頻尿が気になる人は、寝る前の水分摂取を控えるだけで、改善する人も少なくありません。アルコールやコーヒーは利尿作用があるので、これらは控えましょう。また、メタボ(メタボリックシンドローム)や肥満も前立腺肥大症を悪化させるので、適度な運動や食生活の改善に取り組んでください。
ただし、生活に困っていなくても残尿が100㍉㍑を超えている場合は、経過観察ではなく治療となります。排尿症状が出ていて、泌尿器科を受診する人は、状態に不満があるからで、そういう方々はほぼ治療の対象になると思って間違いありません。最終的には、患者さんが排尿症状をどの程度気にしているか、これが治療開始の大きな判断材料になります。