「前立腺肥大症のすべて」⑬|かとう前立腺クリニック東京|東京日本橋の泌尿器科・前立腺専門クリニック

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「前立腺肥大症のすべて」⑬

前立腺肥大症の薬物療法では、「α1遮断薬」「5α還元酵素阻害薬」「PDE5阻害薬」が中心的に使われています。これらはどのような薬なのか――。まずはα1遮断薬から知りましょう。

α1遮断薬は3つの薬の中でもっとも多く使われている服用薬。この薬を服用することで前立腺の緊張がゆるみ、前立腺の尿道への圧迫が減るので尿道が少し広がります。それによって、排尿が良くなるのです。

排尿時のメカニズムは、自律神経が関与しています。まず副交感神経から指令が出て膀胱が収縮して尿道括約筋がゆるみ、それによって尿道が開いて排尿できるのです。逆に尿を貯めるときは交感神経から指令が出て膀胱が拡張して尿道括約筋が閉まります。

膀胱、尿道、前立腺などの筋肉にはα1受容体があり、それが交感神経からの指令を受け取るのです。前立腺肥大症では「尿道を閉めなさい」という指令を受けるα1受容体の数が増え、その結果尿が出にくくなります。α1遮断薬はα受容体に張り付き交感神経からの指令を遮断するので、副交感神経の指令が伝わるのです。それによって膀胱、尿道もゆるみスムースな排尿ができるようになります。もちろん、前立腺もゆるむので、その部分の尿道への圧迫も軽減するからです。

結果、排尿困難のみならず、頻尿、夜間頻尿などの排尿障害が改善します。ただ、肥大した前立腺を小さくする効果は認められてはいません。

日本泌尿器科学会専門医 加藤忍