「前立腺肥大症のすべて」⑭|かとう前立腺クリニック東京|東京日本橋の泌尿器科・前立腺専門クリニック

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「前立腺肥大症のすべて」⑭

 前回は、前立腺肥大症の薬物療法で最も広く使われている「α1遮断薬」のメカニズムなどを紹介しました。しかし、中心的に使われている薬であっても、やはり薬なので副作用はあります。それはきちっと認識しておきましょう。

その前に知っておいてほしいことがあります。この薬は、かつては高血圧の薬だったのです。それを前立腺肥大症の患者さんに使用したところ、とても有効だったことで、前立腺肥大症の治療薬となりました。

そして、副作用の一つが「めまい(起立性低血圧)」、立ちくらみです。高血圧の薬だったことで分かるように、血管を広げる薬なので、立ち上がった時にフワーっとする症状がでたりします。このほか、「射精障害」「鼻づまり」「頭痛」などもあります。

さらに、α1遮断薬を服用している患者さんが白内障の手術を受けると、「虹彩緊張低下症候群」が生じることがあります。虹彩は黒目の部分の真ん中の瞳孔と白目の間で茶色に見えるところ。この色については日本人の場合です。その虹彩はカメラの絞りのように目の中に入る光の量を調節しています。その虹彩部分がやわらかくなるのが虹彩緊張低下症候群で、手術を難しくしてしまいます。だから、α1遮断薬を服用している患者さんが眼科手術を受けるときは主治の先生に伝えてください。

加えて、もともと高血圧の薬なので、高血圧の薬を服用している場合は注意をしていただくと良いでしょう。

日本泌尿器科学会専門医 加藤忍