前回取り上げた前立腺肥大症の4つ目の手術は、「PVP(532㌨㍍ レーザー光選択的前立腺蒸散術)」と「CVP(接触式前立腺レーザー蒸散術)」。今回はその手術のメリット&デメリットに注目します。
この2つの手術は前立腺の内腺に高出力レーザーを照射し、組織を蒸散させます。そのため、内腺をくりぬく手術と比べるとスムーズに手術が進行するので、安全に早く手術を終えることができます。実際、手術にかかる時間は、前立腺の大きさが一般的なサイズであれば、60分程度で終わらせることができます。
手術はPVPもCVPもコンパクトにできるので、その点はメリットです。出血が少ないため、この2つの手術は高齢者や脳梗塞や心臓の病気のために血液をサラサラにする薬を服用している患者さんに適しています。そのことでもわかるように、出血のリスクは極めてまれであることがわかります。デメリットは手術後の長期成績の問題と組織検査ができない点です。蒸散手術は核出手術と比較し再発リスクが高いように思います。特にCVPは長期成績がまだありません。また、蒸散手術では組織検査ができないため、がんの有無の確認ができないのです。
PVPもCVPも手術時間は1時間程度で、入院期間は4、5日程度と短いのもメリットでしょう。特にCVPは、日帰り手術で行っているクリニックの医師が全国に何人かいます。私も日帰り手術を行っている一人です。ただ、この2つの手術は全国どこの施設でも行っているわけではありません。治療を希望する場合は、主治医に相談するといいでしょう。
日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医 加藤忍