「前立腺肥大症のすべて」㉘|かとう前立腺クリニック東京|東京日本橋の泌尿器科・前立腺専門クリニック

〒103-0021 東京都中央区日本橋本石町4-5-3
三泉トラスト日本橋ビル2F

神田駅南口より徒歩3分
銀座線・半蔵門線三越前駅
A8番出口より徒歩5分
総武本線新日本橋2番出口より徒歩5分

トピックス TOPICS

「前立腺肥大症のすべて」㉘

  前立腺肥大症の手術の5つ目として、前回は今年の4月から保険診療となった「PUL(経尿道的前立腺吊り上げ術)」を取り上げました。今回は、PULの手術がどのような患者さんに適応となるのかを紹介します。

PULが適応となるのは、「HoLEP(ホーレップ=ホルミウムレーザー前立腺核出術)やTURP(タープ=経尿道的前立腺切除術)の手術ができない患者さんにこの手術を――」と、日本の厚労省から指針が出されたのです。

それは前立腺肥大症の状態ではなく、「他に疾患があって身体の状態が悪く、手術時に麻酔をかけることができない、といった患者さん」。加えて、「認知症のために手術時もじっとしていられない患者さん」などとなっています。実際、他の手術が受けられないこのような患者さんが、PULによって改善するのは良いことです。ただ、保険適用でPULが受けられるのは決して多くはありません。その適用範囲をもっと広げるべきです。

そこで、私たち泌尿器科医が望んでいるのは、外国のようにごく普通の手術として対応すべきだということです。

PULの術後には「性機能障害がなかった」と報告されています。たとえば、PULは他の手術で起きる可能性のある合併症の「逆行性射精」も起こさない。逆行性射精とは、身体の外に射精されるはずの精液が、外ではなく膀胱側に射精されてしまうのです。射精した感じがなくなってしまうのです。だから、本来であれば、若い患者さんをもPULの適用にすべきと願っています。

日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医 加藤忍