前回はPULの話をしましたが、前立腺肥大症の手術の6つ目として、「WAVE手術(水蒸気治療)」を取り上げます。WAVE手術(Water Vapor Energy Therapy)は、水蒸気の力を使って前立腺を縮小させる治療法です。「Rezum治療」とも呼ばれることがあります。WAVE手術(Water Vapor Energy Therapy)は、前立腺肥大症の治療法の一つで、水蒸気の熱エネルギーを利用して肥大した前立腺組織を縮小させる方法です。この手術では、細いデリバリーデバイスを尿道から挿入し、前立腺の肥大部分に針を刺して水蒸気を送り込みます。水蒸気の熱によって前立腺の細胞が破壊され、時間の経過とともに体内で吸収されることで前立腺が小さくなり、尿の通りが改善されます。WAVE手術は、体への負担が少なく、出血がほとんどないため、短時間で施術が可能です。通常、手術は10〜15分程度で完了し、入院の必要がない場合が多いのが特徴です。また、性機能への影響が少ないという利点もあります。
一方で、効果が現れるまでに数週間かかることがあり、術後に軽い痛みや一時的な尿の出にくさが生じることがあります。また、PUL同様にすべての前立腺肥大症の患者様に適応できるわけではないため、治療を検討する際には専門の医師と相談することが重要です。WAVE手術は、低侵襲で安全性が高い治療法として注目されており、特に従来の手術に抵抗がある方や、身体への負担を抑えたい方、性機能を温存したい方に適した治療法といえます。
日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医 加藤忍