前立腺肥大症に対するHoLEP(ホルミウムレーザー核出術)とは
HoLEP(Holmium Laser Enucleation of the Prostate)は、
レーザーを用いて前立腺肥大症の原因となる内腺を根本から取り除く治療法です。
「薬では改善しなくなってきた」
「尿閉を繰り返している」
「前立腺が大きいと言われた」
このような方に、現在もっとも確実性が高い治療法の一つとされています。
HoLEPの特徴
- 前立腺の大きさに制限がほぼない
- 排尿障害の改善効果が高い
- 再手術率が低い
- 長期成績が安定している
前立腺肥大症治療の中でも、「根治性」を重視する治療です。
HoLEPはどのような方に向いているか
以下のような方に特に適しています。
- 前立腺体積が大きい(中等度〜高度肥大)
- 薬物治療で十分な効果が得られなくなった
- 尿閉や残尿が強い
- 長期的な再発リスクを下げたい
- 高齢であっても、確実な改善を希望する
注意点・知っておきたいこと
- 射精機能は保たれにくい
👉 「確実性と引き換えに、機能面の一部に影響が出る可能性」
これを理解したうえで選択される治療です。
HoLEPは「最終手段」ではありません
HoLEPは
「もう他に方法がない人の手術」ではなく、
**「最初から確実な治療を選びたい人の選択肢」**でもあります。
前立腺肥大症の重症度・年齢・生活背景を踏まえて、
適切な治療かどうかを判断することが重要です。
前立腺肥大症に対するCVP(レーザー前立腺蒸散術)
**CVP(Contact Laser Vaporization of the Prostate)は、
レーザーを用いて前立腺を蒸散(蒸発させる)**する低侵襲治療です。
HoLEPのように核出は行わず、
出血を抑えながら尿道の通りを改善することを目的とします。
CVPの特徴
- 出血が非常に少ない
- 身体への負担が比較的軽い
- 高齢者・抗凝固薬内服中でも検討可能な場合がある
- 術後の回復が早い
👉 安全性と低侵襲性を重視した治療法です。
CVPが向いている方
- 前立腺肥大症はあるが、極端に大きくない
- 出血リスクをできるだけ避けたい
- 高齢・基礎疾患があり侵襲を抑えたい
- 排尿症状を改善したいが、大きな手術は避けたい
- 射精を温存したい
注意点・限界
- 前立腺が大きい場合、効果が限定的なことがある
- 長期的には再治療が必要になるケースがある
- 根治性はHoLEPより低い
👉 「安全性を取るか、確実性を取るか」
このバランスがCVP選択のポイントです。
CVPは「ちょうどよい手術」
CVPは
- 薬では不十分
- でもHoLEPは少し重い
- 射精を温存したい
という方にとって、
現実的でバランスの取れた選択肢となります。
切らずに行う前立腺肥大症治療 WAVE(水蒸気治療)
**WAVE治療(Rezūm)**は、
高温の水蒸気を前立腺に注入し、肥大組織を縮小させる治療法です。
メスやレーザーで切除を行わないため、
身体への負担が少ない治療として注目されています。
WAVE治療の特徴
- 切らない前立腺治療
- 日帰りまたは短時間治療が可能
- 麻酔・出血リスクが低い
- 将来の手術を妨げない
- 射精機能・勃起機能を温存しやすい
WAVEが向いている方
- 軽度〜中等度の前立腺肥大症
- まずは侵襲の少ない治療を希望
- 高齢・合併症があり手術に抵抗がある
- 薬以外の選択肢を探している
注意点
- 効果発現まで数週間〜数か月かかる
- 一時的に排尿症状が悪化することがある
- 重症例では効果が不十分なことがある
👉 「段階的治療」の一環として選択される治療です。
WAVEは「橋渡し治療」
WAVEは
- 仕事
- 性生活
- 社会活動
- 薬 → 手術の中間に位置する治療です。
「今すぐ大きな手術は避けたい」
という方にとって、重要な選択肢になります。
性機能を温存する前立腺肥大症治療 PUL(前立腺吊り上げ術)
PUL(Prostatic Urethral Lift)は、
前立腺を切除せず、特殊なインプラントで尿道を広げる治療法です。
PULの特徴
- 前立腺を切らない
- 射精機能・勃起機能を温存しやすい
- 出血が少ない
- 回復が早い
- 日常生活への復帰が早い
👉 QOL(生活の質)を重視した治療です。
PULが向いている方
- 比較的前立腺が小〜中等度
- 若年〜働き盛り世代
- 性機能をできるだけ守りたい
- 仕事を長く休めない
注意点
- 前立腺が大きい場合は適応外
- 長期的に再治療が必要なことがある
- 効果はHoLEPほど強くない
👉 **「確実性よりも生活の質を重視する方向け」**です。
PULは「ライフスタイル重視の治療」
PULは
- 仕事
- 性生活
- 社会活動
を重視する方に選ばれる治療です。
🔚 全体まとめ
前立腺肥大症の治療に
「万人に最適な手術」は存在しません。
- 確実性重視 → HoLEP
- 低侵襲・安全性 → CVP
- 切らない治療 、QOL重視→ WAVE、PUL
- 症状・前立腺の大きさ・年齢・生活背景を総合的に判断し、
自分に合った治療を選ぶことが最も重要です。
文責 日本泌尿器科学会専門医 藤田医科大学泌尿器科 客員教授 加藤忍