過活動膀胱とは
過活動膀胱(OAB:Over Active Bladder)とは突然、我慢できないような尿意を感じる症状(尿意切迫感)があり、通常、これに頻尿や夜間頻尿を伴い、急な尿意でトイレまで間に合わずに尿を漏らしてしまう症状(切迫性尿失禁)を伴うこともあれば伴わないこともある状態で、排尿に関わる症状が現れる病気です。現代では40歳以上の8人に1人が過活動膀胱であると言われています。
こんな症状はありませんか?
- 突然トイレに行きたくなるような症状(尿意切迫感)
- 夜中に1回以上トイレに起きる(夜間頻尿)
- 日中8回以上トイレに行く(昼間頻尿)
- トイレまで我慢できずに漏らしてしまう(切迫性尿失禁)
上記のような症状が出ている方は、過活動膀胱となっている可能性があります。過活動膀胱は原因が非常に多く、別の病気の一つの症状であることも稀ではありません。実は繰り返して発症してしまう病気もあるため、専門の医師による診察と検査を受けて、正しく治療を行うことが過活動膀胱を治すためには近道です。 まずはご不安な方は当院へご相談ください。
過活動膀胱の診断方法
当院ではOABSSというチェックシートを記入して頂き、過活動膀胱が疑われる場合には超音波検査によって膀胱内の残尿の測定や前立腺肥大の可能性の把握を行い患者さんの状態、症状に合わせて治療を行います。
過活動膀胱の原因
神経因性過活動膀胱
通常、人が排尿する際には多くの神経や筋肉が連動することで成り立っています。脳出血や脳梗塞などの脳血管障害やパーキンソン病などの神経変性疾患によって神経や筋肉のどこか一部に異常が生じると、排尿のトラブルが起きます。
非神経因性過活動膀胱
加齢や血流障害、骨盤底筋の脆弱化(恥骨、尾骨および坐骨の間に位置する筋肉の総称)などが原因とされています。
上記以外にも男性の膀胱に隣接する前立腺という臓器が肥大し尿道を狭くすることで排尿を邪魔する病気(前立腺肥大症)や女性の子宮や直腸が加齢に伴って尿道を狭くすることなどによっても起こります。
※子宮脱:支給が本来の位置よりも下がり、子宮の一部または全部が膣の外に出てしまう状態
※直腸脱:直腸が肛門の外に出てしまい、デキモノとして認識できるようになる状態
過活動膀胱の治療方法
基本的に薬による治療が中心になりますが、膀胱や周囲の筋力を鍛えるトレーニング、電気や磁気による刺激なども組み合わせることで改善を目指します。状態や今後の治療方針について医師としっかり話してきちんと理解した上で、症状やライフスタイルに合わせた治療を受けてください。
薬物療法
症状を軽減させる治療で、膀胱の収縮を抑制する抗コリン薬やβ3受容体作動薬などを主に使います。有効な薬剤がいくつも登場してきていますが、投薬方法や効果と副作用などの出方がそれぞれ異なります。ライフスタイルや症状に合わせた処方が可能ですので、しっかりご相談しながら決めていきます。
薬物療法※()内は先発品名を記載
・抗コリン薬(膀胱の筋肉の過剰な収縮を抑えてあげる)
・ソリフェナシン(ベシケア錠)
・イミダフェナシン(ウリトス錠、ステーブラ錠)
・フェソテロジン(トビエース錠)
・β3作動薬(膀胱を広げてあげる)
・ミラベクロン(ベタニス錠)
・ビベクロン(ベオーバ錠)
◆前立腺肥大症が原因疾患として考えられる場合(男性のみ)
・PDE5阻害剤
・タダラフィル(ザルティア錠)
・α1ブロッカー
・シロドシン(ユリーフ錠)
・ナフトピジル(フリバス錠)
・タムスロシン(ハルナール錠)
※内服治療で効果がない場合はボツリヌス療法があります。治療は保険適応になり当院では積極的に日帰り手術で治療を行っています。当院のボツリヌス療法のページをご覧ください。
行動療法
少しずつ我慢する時間を増やしていく膀胱訓練、骨盤底筋体操などで弱くなっている機能を回復させ、尿トラブルの症状緩和につなげます。特に難しいトレーニングではなく、ご自宅で簡単に行えます。
電気刺激治療
電気や磁気の刺激により、骨盤底筋の収縮力強化、膀胱や尿道の神経を調整する治療法で、過活動膀胱や腹圧による尿失禁にも効果が見込めます。
生活習慣の改善
過剰な水分摂取、利尿作用のあるカフェイン、アルコールの摂取を控えることで症状の改善が期待できます。外出時にはトイレの位置を確認し、早めにトイレに行くことを心がけることで尿失禁を防止しやすくなります。
膀胱訓練
自宅など、トイレにすぐに行ける環境にいるときに、おしっこを我慢して少しずつ膀胱の容量を増加させる方法です。膀胱炎になりやすい方などは注意が必要ですので、ご相談ください。
骨盤底筋体操
骨盤底筋体操弱った骨盤底筋を鍛えることで、症状を緩和させます。もともとは腹圧性の尿失禁に対して行われていた治療ですが、過活動膀胱にも有効です。時間はかかりますが、長く続けることで改善が期待でき、進行予防や再発予防にもつながります。