前立腺炎について
前立腺は、膀胱のすぐ下に位置し、尿道を囲むように存在する男性特有の臓器です。正常な前立腺は、クルミの実ほどの大きさで、重さはおおよそ20グラム程度です。前立腺炎は、この前立腺が何らかの原因で炎症を引き起こす病気です。前立腺炎は急性と慢性に分かれ、細菌感染が原因の場合と、感染以外の要因による場合があります。尿道を取り囲む組織に炎症が広がるため、強い痛みを伴うことが多く、排尿に関連するさまざまな症状も現れることがあります。
こんな場合はご相談ください
- 会陰部に不快感がある
- 残尿感、頻尿など何かしらの排尿症状がある
- 会陰部に痛みがある
- 常に会陰部がほてっているような感じがする
原因
細菌性前立腺炎
細菌性前立腺炎には急性と慢性の2種類があり、その原因菌としては、消化管や肛門に多く存在する大腸菌などの腸内細菌や、性感染症の原因となるクラミジアなどの細菌が挙げられます。これらの細菌は尿道を通じて前立腺に感染し、炎症を引き起こします。
非細菌性前立腺炎
非細菌性前立腺炎には、炎症性と非炎症性の2種類があります。炎症性のものは、自己免疫疾患の一部として見られることがあり、体の正常な細胞や組織に対して誤って抗体が作られ、前立腺が攻撃されることがあります。一方、非炎症性のものについては、まだ明確な原因が解明されていませんが、排尿を調節する筋肉や神経の異常、または骨盤内で前立腺の感覚を司る神経が過度に活発になることで慢性的な痛みが引き起こされる可能性があると考えられています。
症状
前立腺炎の症状には、典型的なものとして頻尿、残尿感、尿の勢いの低下などの尿路に関連する症状や、会陰部の痛みがあります。また、陰茎の先端、腰部、精巣に痛みを感じることがあり、射精時にも痛みを伴うことがあります。急性の細菌性前立腺炎では、感染による炎症が全身に広がり、高熱や寒気、倦怠感などが現れることがあります。慢性の前立腺炎では、前立腺や射精時の痛み、会陰部の不快感などが目立ち、劇的ではないものの、長期間にわたって症状が続くのが特徴です。
治療方法
細菌性前立腺炎
細菌の種類に合わせた抗生物質を投与しながら全身症状を改善させます。
非細菌性前立腺炎
神経刺激療法、抗不安薬、前立腺マッサージなど、さまざまな治療法でアプローチをします。さらに、痛みを伴う症状がある場合には、鎮痛薬や尿の排出を促進する薬、温熱療法なども併用されることがあります。