尿失禁について
尿失禁とは、本人の意志に関係なく尿が漏れてしまう状態を指します。尿失禁には4つのタイプがあり、それぞれの特徴があります。まず、腹圧がかかる場面、例えば、重い物を持ち上げるときや走る、ジャンプする、咳やくしゃみをしたときに尿が漏れる「腹圧性尿失禁」、次に尿意を感じても尿が出せず少しずつ漏れてしまう「溢流性尿失禁」、急に強い尿意が襲い排尿をコントロールできずに漏れてしまう「切迫性尿失禁」、そして排尿機能自体に問題はないものの身体機能の低下や認知症によってトイレに間に合わない「機能性尿失禁」の4種類があります。
こんな場合はご相談ください
- 尿漏れについて不安があり相談したい方
- 力を入れた際、いきんだ際に少し尿がもれてしまう方
- 日常的な尿漏れが原因でいきいきと生活できない方
- 朝目覚めると尿が漏れてしまったことがある方
原因
尿失禁の原因は種類によって異なりますが、さまざまな要因が関与していると言われていますが、男性では前立腺肥大症が原因となることがあります。さらに、膀胱の過活動によって、尿が十分にたまる前に尿意が急激に訪れ、失禁が起こることもあります。神経系の疾患、例えば脳梗塞や脳出血、パーキンソン病なども失禁の原因となることがあります。身体機能の低下や認知症により、トイレに間に合わず失禁が生じることもあります。さらに、原因が特定できない場合もあり、心理的ストレスが引き金となる尿失禁も存在します。
症状
腹圧性尿失禁
力を入れたり、いきんだりした際に尿が漏れてしまう状態です。
切迫性尿失禁
多くの場合、頻尿を伴いトイレに行く回数が増えるため、外出中や乗り物に乗っている際などに急いでトイレに駆け込むことになり、不安や苦痛を感じることがあります。
溢流性尿失禁
排尿に時間がかかり残尿感が強くなるため、尿を完全に出し切れないことがあります。その結果、夜間に失禁してしまうこともあります。
機能性尿失禁
認知機能の障害によりトイレの場所がわからない、排泄行動が理解できないなど、トイレに行くこと自体が困難になる場合があります。
治療方法
腹圧性尿失禁
膀胱や他の内臓を支える骨盤底筋を強化する訓練(行動療法)を行うことで、軽症の場合は症状の改善が期待できます。もし症状が改善されない場合は、尿道の下にメッシュ状のテープを挿入して支える手術(外科的療法)として、TVT(Tension free Vaginal Tape)やTOT(Trans-Obturator Tape)が検討されます。
切迫性尿失禁
頻尿が伴うことが多いため、膀胱の過剰な収縮を抑える抗コリン薬や膀胱の筋肉をリラックスさせるβ3受容体作動薬を用いた薬物療法が有効です。また、薬物療法と併せて、飲水量の調整や尿意の我慢、排尿回数を減らす努力などの膀胱訓練(行動療法)も効果的とされています。
溢流性尿失禁
原因となっている疾患を特定し、それに対する治療を行います。
機能性尿失禁
尿意を感じたときにトイレに行くのではなく、決まった時間に排尿する習慣を身につけることで尿失禁を減らす治療を行います。